Number理美容経営者のターニングポイントを知り、学ぶ。
1971年12月10日、三重県生まれ。理容学校を卒業後、横浜のヘアサロンに就職。10年間経験を積んだ後、地元の四日市へ戻り、2003年4月『株式会社GINZA global company』を設立。同時に『ANDIAMO 青葉店』を開業し独立を果たす。現在は県内に『ANDIAMO』4店舗、髪質改善専門店『Nuovo Mondo』の運営と、ウェルエイジング製品シリーズ『RAPOL』、ビューティ&ヘルス ブランド『BPOLTE』3店舗を新規事業として手掛けている。
業界の課題『面貸し』を徹底研究。再現性の高いビジネスへの転換で、生産性を倍にする方法とは
三代続く床屋で両親の背中を見ながら夫婦で美容室を開業
理容学校を卒業後、横浜のヘアサロンに就職。10年間技術を磨き経験を積んだ後、地元四日市へ戻り、当時知り合った奥様とふたりで、2003年4月『ANDIAMO青葉店』を開業、同時に『株式会社GINZA global company』を設立し独立を果たす。親子三代続く床屋で理容師として支え合いながら切磋琢磨する両親の背中を見て育った川崎代表にとって、夫婦でともに経営に挑戦することは自然な選択であったという。
「両親のように、一軒家を建て、1階が美容室、2階が住居というかたちで夫婦ともに末永く歩めたらと思い、家業を継がずに独立開業という道を選択しました。祖父は多店舗展開も図っていて理容組合の理事長も務めており、お弟子さんがまわりにたくさんいたことも、美容師としての人生を歩むことを決めたきっかけのひとつだと思います」
Uターン開業で同業の知人ゼロ。『組織』に入ることで効率良く生産性を上げる
2003年の開業から2年、Uターン開業のため地元に同業の知り合いはおらず、経営を学ぶ機会を探していた折に父親の友人のつながりがきっかけで、自身と同年代の経営者が組織内で活躍していることを知り、SPCに入会。
「最初はメディアモーダ会員でしたが、当時は活動内容が限られていたので、積極的に組織活動に参加するなどして1年弱ほどで正会員になりました。定例会議で自社の課題に気づくことができ、なおかつ前例や解決策を参照できるのは非常に効率良く生産性を上げる方法であり、これぞ組織の醍醐味だと思います」
川崎代表が活動していたのは、三重県本部。若い世代〜同年代のメンバーが多く、厳しい意見も飛び交うほど活発な情報交換が行われていた。経営者同士の鋭い視点から、現実的なフィードバックを交換し合えることは何よりも勉強になったという。
「それから、経営者として一段上のレベルまで成長するためには、地方のイチ担当者ではなく全国に行かなければと考え、役職に就くことを意識するようになりました」
その後、スタイリングコレクションの実行委員長、経営戦略部の副理事長を経て、現在は業態開発プロジェクトリーダーを務めている。(現在、メディアモーダ会員も風通しの良い環境となり、幅広い情報共有が可能)
既成概念を壊し、何度でも生まれ変われる場所
経営者は経営者でしか磨かれない。1店舗でささやかに運営をしているとそれで充分だと視野が狭くなりがちだが、外の世界に出て、同業の経営者と熱い議論を交わすことで、自分でも気づかずにいた既成概念が崩れ去り、まったく新しい思考を手に入れることができる。そんな人との出会いが川崎代表を突き動かす価値観の根底にある。
「2003年の開業から、2009年に『LUCIDO STYLE andiamo』を出店するまでの間に、幾度となく既成概念を壊されました。ある先輩経営者に“ルシード事業部のブランドビジュアル撮影のためにヨーロッパに行かないか”と誘われましたが、長期でお店を空けられず断ったんです。しかし後日、当時のルシード事業部の顧問に言われた言葉にいたく感銘を受け、それからは毎年海外で撮影研修を行うほど価値観に大きな変化が生まれました」
“君には大義がない。今の仕事も大事だが、この先会社をどうしたいのか。君を信じて付いて来るスタッフの未来は、社長がどこを見ているかで決まる”そう言われ、社長自身が古い考えに留まらず、新しい挑戦を続けていくことで、スタッフや会社の未来は拡大していく、ということに気付かされたことが多店舗を展開する大きな転機になったと話した。刺激の多い海外での撮影研修はスタッフにも好評を得、コンテストでも上位入賞の常連になるほど、サロンのクリエイティビティを伸ばしている。
属人的なやり方から『再現性の高いビジネス』への転換がターニングポイント
美容業界における今後の課題と向き合い発展させていくために、自ら率先して選挙に参加し、経営戦略部の副理事長に就任。今やフリーランスや副業が主流となった個人主義の時代に、“組織”はどうあるべきか。業務委託が台頭し、力を入れて育てた新人ほどフリーランスへ転向してゆく業界全体の課題解決のために“面貸し”と“生産性”について徹底研究をし、メーカーをはじめ、あらゆる業態から情報を集めては会議を重ねた。結果、会社は成果を上げ生産性は2倍に。これが大きな転換点となった。
「誰もが個人で事業を始められる時代だからこそ“1人ではできないこと”に大きな可能性があります。個人の利益を最大化させるために“組織”を利用するんです。“生産性”とは単に売上のことでなく、かけた時間に対する収益性を最大化させること。売りたい物ではなく、顧客のニーズをリサーチし需要のあるものだけを供給する。新人育成も同じで、個人にしか通用しないやり方ではなく、人気スタイリストのカウンセリングや接客術をマニュアル化し、再現性を高めることでスタッフ全員が同じ方向性で安心して働けますし、安定したサービスを提供できるようになり、生産性は2倍になりました」
現在は、経営戦略部の業態開発プロジェクトリーダーに就任。時代に合わせた多様な事業のかたちを模索するべく引き続き研究を行っている。
多様な事業展開と、早期育成カリキュラム
『㈱GINZA global company』では、通常3年~5年かかるスタイリトデビューを2年で行えるように作られたプログラムで教育を行っている。スタイリストの育成とデビューを早期化することで、スタッフはより豊富な経験を積んでスキルアップすることができ、その後の離職による教育時間と労力のロスも軽減することができる。
お客さまの理想イメージや要望を引き出しながら、わかりやすく提案できるようなプレゼンテーション能力の教育も用意。美容師としての技術力だけでなく、人間性も高めていく『心の勉強会』も実施しており、サロン全体で方針の再現性を高めているため、新人であっても安定したサービスを提供できるという生産性の向上を実現している。
また、毎年5月に名古屋でヘアショーに参加、年に一度の海外撮影研修を行っている。ただ海外で刺激を受けるだけでなく、表現することの楽しさを体感したり、技術力の向上にも繋がり、美容師としてレベルの高いスキルアップを図ることができる。
東海地方では組織最大スケール!Uターン開業する人にこそ仲間が必要
多様な生き方が増えた昨今、都会に対する価値観の変化が少しずつ生まれ始め、地元に戻り美容室をオープンする事例が続々と増えている。横浜で長らく経験を積んだ後に地元三重県に戻り開業、現在は7店舗を運営する川崎代表はこう語った。
「これからの時代にあった美容室運営について研究した情報や、全国から吸い上げた情報は各本部で共有され、スタッフに有益なノウハウなどは勉強会を開催して共有します。規模が大きく、情報の宝庫でもある“組織”は利用する方が効率よくサロンの収益性を上げられると思います。東海地方は若いメンバーが多いため打ち解けやすく、SPCも理念は守りながら時代に合わせて新しく生まれ変わることができればと考えています」
INTERVIEW DATA
- 会社名
- 株式会社GINZA global company
- 代表
- 川崎 元晴
- 創業
- 2003年4月23日
- スタッフ数
- 52名
- 本社所在地
- 〒512-0903 三重県四日市市小杉新町10
- 取材店舗名
- アンディアーモ ロッコ
- 店舗所在地
- 三重県桑名市城山台1-1