TOKAI TURNING POINT

Number理美容経営者のターニングポイントを知り、学ぶ。

有限会社ココロ紫藤 浩

Hiroshi Shitou

1962年1月27日、愛知県名古屋市生まれ。大手サロンに勤務しトップの技術成績をおさめた後、1990年6月28日に『Cocolo hair』を開業、『有限会社ココロ』を設立し独立。現在は、浜松市内に『Cocolo hair』5店舗を運営し、店舗ごとにそれぞれのスペシャリストを育てる特化型サロンを目指している。

偏った指名率を解消。スタッフ全員がスペシャリストの特化型サロンへ。

Cocolo hair Will 半田山店

月間500人もの指名客をひとりでこなした開業当初

大手サロンに就職後、経験を積みながらトップの技術成績をおさめるなど持ち前のセンスをいかんなく発揮し、1990年6月『Cocolo hair』を開業、『有限会社ココロ』を設立し独立を果たした。
当初、3名のスタッフを雇用しサロンは順調に売上を伸ばしたが、月間客数650人のうち紫藤代表の指名は500人を超えるワンマン状態に。円滑な運営のためにも、これを解消すべく経営について学ぶ必要性を強く感じたことで新しい世界の扉を開くこととなった。
「“何らかの事情で自分の不在状態が続けばサロンは潰れてしまう”と危機感を抱いたことがきっかけで、経営学をイチから勉強しました。ヘアサロン運営は教育産業だと考えていますので、それぞれのスペシャリストを育て、店舗ごとでニーズに対応できる特化型のサロンづくりを目指しています」

『高い・早い・上手い』を目指す独自の経営戦略

能力の差によって生じる指名率の偏りに頭を悩ませていた折、メーカーからの案内で経営セミナーに参加したことがきっかけとなりSPCに入会。自身が現場にいなくても滞りなく回る店を作らなければ経営の本質を養うことができない、という考えから、当時多かった低単価サロンを2年後に出店した。集客は好調だったが、客数に比例し疲弊していくスタッフを目の当たりにし経営戦略を再考。ヘアスタイルを提案するセットメニューを取り入れるなど客単価を1万円に上げる方向転換を図った。客数は半減したものの変わらない売上を立てられることから、スタッフの負担は減少し、活き活きとした意欲を取り戻すことができたという。
「どちらが良い悪いではなく、これが経営戦略です。お客様と丁寧に向き合う方針に変えてから、指名率の偏りは改善され、スタッフの自主性が育つようになりました。単価は高く客数が多いというのが最良ですが、『高い・早い・上手い』を目指さなければ夢が与えられないと考えています」
経営の入り口は手法を学ぶことだが、“こうしなければならない”決まりは一切ない。身につけたノウハウから自身で状況を見極め、戦略を立てる応用力を鍛えることが肝心だと話した。

Cocolo hair Will 半田山店

有益情報は惜しみなく共有。もらった恩は次世代へ還元

会員であればどこでも可能なサロン見学では、事務所内はもちろん、各種資料など有益な情報を惜しみなく共有してもらえることが組織最大のメリットだ。
「1店舗少数で運営している経営者が100人規模の事務所を見学できることは、将来のビジョンを構想するうえで視野を養える貴重な機会です。実際の業務に使用される資料をいただけることもですが、大手社長の立居振る舞いや、スタッフとの関わり方、外部への対応など直に触れることで、自ずと足りない課題が見えてきます。その気づきがセルフプロデュース能力を育てるのです」
いつどこでも情報にアクセスできる現代において、実際に足を運んで体験することでしか得られない学びがここに存在する。
「先輩経営者にしてもらったことを、今度は次世代に還元することが最重要だと考えています。孤独経営のままでは限界がありますが、次の世代へすべてを惜しみなく渡し、そうして新陳代謝を図ることで美容業界をより良い方向へ循環していけると考えています」
その後本部長に就任し、会長、副理事長を経験した紫藤代表。役職を担い、大勢の前でスピーチをすることで人を惹きつける話し方や度胸が鍛えられ、入会後はまるで違う人間になったようだと語った。

SPC東海の会長に就任したことがターニングポイント

時代ごとに組織を引っ張ってきた全国13統括のうち、今こそ東海がその役目を引き受け、受けた恩恵を組織へ還元すべきときではないか、という使命を感じたという紫藤代表。会長選挙にて当選を果たした後、まるで見える世界が変わるほど視野が広がったことを実感した。
「会長に就任してから、SPC東海を牽引する立場としての責任感がより強く生まれ、話し方から会社を見る視点、組織や業界に対する価値観などすべてをこれまでと違った角度から捉えられるようになりました。意識が変わると行動にも変化が生まれますが、それが影響したのか、この時期に自社は急成長を遂げることができました」
セミナー講師を務めていたため高いスピーチ能力を持ち、話し方ひとつにしても、いかに聞く人の心に残すことができるかという点に重きを置いて、有益情報の発信を心がけている紫藤代表。若い世代への還元は、組織に対する恩返しでもあるのだ。

Amélie 高林店

独立支援制度で美容業界の課題に取り組む

現在、浜松市にて郊外型のサロン5店舗を運営している『有限会社ココロ』。そのうち11月にオープンしたばかりの店舗は独立支援という形で出店した。美容業界の課題として、育てた技術者が独立することで顧客の取り合いになることを問題視し、独立を希望するスタッフには全額出資、子会社やグループサロンなどの形態をとり協力し合える関係性を構築。軌道に乗り収益が安定した頃合いに売却するという独立支援制度に取り組んだ。
「独立出店の際には全額出資をして、名前やコンセプトもすべて好きなように作ってもらいました。あえてお客様を分け合うよりも、教育や求人など補い合える関係でいる方が互いにメリットは大きいですし、美容業界における課題への一解決方法ではないかと考えています。もちろんずっとではなく、一定の契約期間は設けています。何よりも志が大切ですから、共に美容業界を盛り上げていければという想いです」

個性を伸ばし、全員がスペシャリストに

現在は、ファミリーサロンから店舗ごとに各メニューに特化したサロンづくりへと時代と共に進化を続ける『有限会社ココロ』。多様性が謳われる昨今、異なる個性を持つスタッフがそれぞれの持ち味を発揮し、スペシャリストとして輝いていける会社を目指している。

有限会社ココロ

INTERVIEW DATA

会社名
有限会社ココロ
代表
紫藤 浩
創業
1990年6月
スタッフ数
50名
本社所在地
〒433-8124 静岡県浜松市中区泉2丁目37-9
取材店舗名
-
店舗所在地
静岡県浜松市東区半田山5丁目1-7
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